領域を横断して映像史を体現する日本の前衛映画の巨匠、松本俊夫の軌跡を辿る700分に及ぶ新作ドキュメンタリー作品。本作は松本俊夫が歩んだ映画に対する実践的な理論を基盤に、記録映画・拡張映画・劇映画・実験映画・映画運動という全5編から構成されたドキュメンタリー映画です。  

監督: 筒井武文
撮影: 瀬川龍/小野寺真/鈴木達夫
照明: 市川元一
録音: 山崎茂樹
サウンドデザイン:森永泰弘
編集:山崎梓
プロデューサー: 武井登美
製作: プロダクション・バンブー
2015/計700分/DVD

第一部: 記録映画編(140分)
1932年生まれの松本俊夫、その青春時代の映画の出会いから、初期の記録映画時代を語る。

第二部: 拡張映画編(153分)
3面マルチプロジェション『つぶれかかった右眼のために』でカオスをはらんだ時代を捉え、大阪万博「せんい館」での映像表現に挑戦。

第三部: 劇映画編(140分)
松本の劇映画第一昨『薔薇の葬列』から『修羅』、秋吉久美子のデビュー作ながら一時公開中止となった『十六歳の戦争』、そして『ドグラマグラ』に至る劇映画の系譜を探る。

第四部: 実験映画編(109分)
実験映画の流れをたどりつつ、90年代以降の沈黙の意味を問う。2006年に川崎市市民ミュージアムで開催された特集上映『映像の変革』の関連企画展などを記録。

第五部: 映画運動編(161分)
松本と同様、映像作家で批評家である筒井武文が松本の書斎を訪ね、批評・映画運動に関する証言をまとめる。

2015年10月: 山形国際ドキュメンタリー映画祭(Double Shadows/二重の影――映画が映画を映すとき)

2015年11月: 第七回神戸ドキュメンタリー映画祭